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simontini - stadi 2024
インドネシアにおける2024年の森林破壊の現状

はじめに

部の政府関係者の発言を見る限り、機微に触れるような用語を避けたり、森林の定義を弄んだり、森林を搾取する余地を残す政策をおこなうなど、依然、消極さがうかがえるものの、インドネシア政府は基本的に国内の森林減少を抑制しようとしています。原生林と泥炭地の新規許可のモラトリアムやFOLU Net Sink 2030(森林・土地利用分野からの温室効果ガス排出を2030年までにゼロにすることを目標とするインドネシア政府による計画)は、そのような取り組みの例です。

しかしながら、メリーランド大学および世界資源研究所と協力してGlobal Forest Watchが発表したデータを除き、インドネシアの定期的な年次森林減少データはまだ利用できません。これまで、インドネシア政府が林業省(旧・環境林業省)を通じて発表してきた森林減少データは、7月から翌年6月までの期間を対象としているため、年次とはみなせず、12か月間をカバーしているものの2年にわたる月次ベースのデータを参照しています。この12か月間の森林減少データは2012年から発表されており、それ以前には8回(2012年、2009年、2006年、2003年、2003年、2000年、1996年、1990年)発表されています。しかし、インドネシア政府は森林減少に関する統計データのみを発表し、地図は添付されていないため、独立した検証や市民の参画が困難です。

特に、機械学習やGoogle Earth Engineなどの計算技術の発展、Landsat、Sentinel、Planetなどの衛星画像へのオープンアクセスの利用可能性により、年間単位またはほぼリアルタイムの森林減少データの提供が可能になりました。森林減少を阻止するための透明性と公的参加の精神が、Auriga Nusantaraは毎年、年初に森林減少データを公表する取り組みを開始し、「MapBiomas Indonesia」の立ち上げと調整も担っています。

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An aerial photo shows a cleared natural forest in the PT Anugerah Langkat Makmur concession in Mandailing Natal of North Sumatra Province. photo: February 2024, ©Auriga Nusantara.

方法論

本レポートで言及される森林破壊(Deforestation)とは、天然林被覆の喪失を指し、産業植林やプランテーションの喪失は含まれていません。天然林(Natural Forest)とは、自然に発生した植物(Woody Growth)が優占する植生群集です。したがって、天然林という用語は原生林(Primary Forest)と二次林(Secondary Forest)の両方を含みます。

産業植林は、10年以内に定期的に収穫される木材で満たされた地域であり、プランテーションは10年未満で収穫されない木材で満たされた地域です。

インドネシアにおける産業植林は、パルプ生産やエネルギー向けに生産されています。林業省は「植林地(Hutan Tanaman)」と呼んでおり、農業作物のカテゴリーに分類されています。Auriga Nusantaraによる「Hutan Tanaman」のカテゴリーには、林業省が「森林」と分類するジャワ島のチーク植林なども含まれます。

2024年の森林破壊データは、以下に示す3つの段階を通じて作成されています。

1. 森林破壊の疑いのある地域の特定 :以下の2つのアプローチを用いて森林破壊の疑いのある地域が得られています。

2. 目視検査: 前述の森林破壊と推定される地域は、その後目視で検査されます。疑わしい森林破壊は、2024年を通じてNICFI/Planetによる衛星画像(3メートル解像度)上でポリゴンごとにチェックされました。森林破壊ポリゴンの数が多いため、Auriga Nusantaraは1ヘクタール超の疑わしい森林破壊エリアのみを検査対象とする決定を下しました

INSPECTION/VERIFICATION RESULT

カテゴリ 疑いのある森林破壊 検証結果
ポリゴン 地域(ha) ポリゴン TRUE ポリゴン FALSE 地域 TRUE (ha) 地域 FALSE (ha)
< 1 351,718 72,762 351,718* 72,762*
1 - 5 35,533 73,345 28,756 6,777 60,077 13,268
5 - 10 5,195 35,471 4,434 761 30,306 5,166
10 - 50 3,117 57,626 2,566 551 47,563 10,063
> 50 408 58,746 344 64 50,868 7,879
TOTAL 395,971 297,950 387,818 8,153 261,575 36,375

*検証未了

3. 現地モニタリング: モニタリングは2024年を通じて特定の地域で実施されました。モニタリング地域の選択は、地理、森林地域類型、政府プロジェクト、土地ベースのコンセッション(鉱業、木材プランテーション、伐採、アブラヤシ)などの代表的なカテゴリーに基づいていました。

2024年を通じて、Auriga Nusantaraは、アチェ、北スマトラ、リアウ、ジャンビ、ベンクル、南スマトラ、西カリマンタン、中央カリマンタン、東カリマンタン、北カリマンタン、中央スラウェシ、ゴロンタロ、北マルク、南西パプア、パプアの諸州における森林破壊地域を訪問しました。合計で、2024年に森林破壊が起きた22,350ヘクタールの地域を訪問しました。

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Auriga Nusantara's monitoring team verified the presence of natural forest logging in PT Kayan Kaltara Coal's concession. This photo was taken in December 2024.

2024年の森林破壊

ヘクタールから4,191ヘクタール増加しました。森林破壊はインドネシアのすべての地域で発生し、カリマンタンとスマトラで増加し、スラウェシ、パプア、マルク諸島、ジャワ、バリ、ヌサトゥンガラでは減少しています。

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森林破壊は、ジャカルタ特別州を除くインドネシアのすべての州で発生しました。2023年の森林破壊上位10州は、(1)西カリマンタン、(2)中央カリマンタン、(3)東カリマンタン、(4)中央スラウェシ、(5)南カリマンタン、(6)北カリマンタン、(7)リアウ、(8)南パプア、(9)中部パプア、(10)西パプアでした。2024年の上位10州は、(1)東カリマンタン、(2)西カリマンタン、(3)中央カリマンタン、(4)リアウ、(5)南スマトラ、(6)ジャンビ、(7)アチェ、(8)北カリマンタン、(9)バンカ・ブリトゥン、(10)北スマトラです。

森林破壊が起きた上位10州(2024年)

2023
西カリマンタン 35,162
中央カリマンタン 30,433
東カリマンタン 28,633
中央スラウェシ 16,679
南カリマンタン 16,067
北カリマンタン 14,316
リアウ 13,268
南パプア 12,640
中部パプア 11,336
西パプア 10,990
その他27州 67,858
2024
東カリマンタン 44,483
西カリマンタン 39,598
中央カリマンタン 33,389
リアウ 20,812
南スマトラ 20,184
ジャンビ 14,839
アチェ 8,962
北カリマンタン 8,767
バンカ・ブリトゥン 7,956
北スマトラ 7,303
その他27州 55,282

2024年には、インドネシアの514の県・市のうち428、すなわち83%で森林破壊が発生しました。68の県では1,000ヘクタールを超える森林破壊が起きました。下表に示すように、森林破壊上位10県のうち9県がカリマンタンに位置しています。

森林破壊が起きた上位10県(2024年)

森林破壊面積 (HA)
東クタイ 東カリマンタン 16,578
ベラウ 東カリマンタン 9,378
ケタパン 西カリマンタン 9,115
ムシ・バニュアシン 南スマトラ 8,517
クタイ・カルタヌガラ 東カリマンタン 7,887
カプアス・フル 西カリマンタン 7,340
西クタイ 東カリマンタン 6,364
カプアス 中央カリマンタン 5,589
サンガウ 西カリマンタン 5,336
カティンガン 中央カリマンタン 4,809
その他18県 180,663

土地ステータスの観点から見ると、この森林破壊の57%は国が管理する土地、すなわち森林地域で発生しました。

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森林伐採事業権地(HPH/PBPH HHK-HA)における森林破壊企業上位10社(2024年)

コンセッション 森林破壊面積 (HA)
PT Panambangan 東カリマンタン 5,485
PT Kiani Lestari 東カリマンタン 3,304
PT Daya Maju Lestari (d.h. PT Marimun Timber IDS) 東カリマンタン 2,641
PT Putra Duta Indah Wood ジャンビ 2,053
PT Diamond Raya Timber リアウ 1,264
PT Inhutani I (Unit Labanan) 東カリマンタン 1,166
PT Dasa Intiga 中央カリマンタン 805
PT Anugerah Pratama Inspirasi ベンクル 796
PT Austral Byna 中央カリマンタン 740
PT Wana Kencana Sejati 北マルク 689
その他244の伐採コンセッション 17,124
合計 36,068

産業植林事業権地(HTI/PBPH HHK-HTI)における森林破壊企業上位10社(2024年)

コンセッション 森林破壊面積 (HA)
PT Mayawana Persada 西カリマンタン 6,145
PT Finnantara Intiga 西カリマンタン 1,551
PT Sendawar Adhi Karya 西カリマンタン 1,170
PT Industrial Forest Plantation 中央カリマンタン 1,105
PT Meranti Laksana 西カリマンタン 918
PT Grace Putri Perdana 西カリマンタン、中央カリマンタン 875
PT Permata Borneo Abadi 東カリマンタン 786
PT Paramitra Mulia Langgeng ランプン、南スマトラ 661
PT Andalan Karya Pertiwi バンカ・ブリトゥン 661
PT Perawang Sukses Perkasa リアウ 660
その他270の産業植林伐採コンセッション 26,800
合計 41,332

鉱山開発事業権地における森林破壊企業上位10社(2024年)

コンセッション コモディティ 森林破壊面積 (HA)
PT Berau Coal 石炭 2,039
PT Cita Mineral Investindo Tbk ボーキサイト 1,442
PT Timah Tbk 1,070
PT Sumber Sentosa Bersama ケイ砂 808
PT Vale Tbk ニッケル 689
PT Battoman Coal 石炭 651
PT Weda Bay Nickel ニッケル 650
PT Kayan Kaltara Coal 石炭 595
PT Ridatama Cahaya Abadi ボーキサイト 540
PT Aneka Tambang Tbk 複数のコモディティ商品 497
その他1580の鉱山開発事業 29,635
合計 38,615

アブラヤシ農園開発事業権地における森林破壊企業上位10社(2024年)

コンセッション 森林破壊面積 (HA)
PT Borneo International Anugerah 西カリマンタン 2,019
PT Mitra Kapuas Agro 西カリマンタン 1,534
PT Banyan Tumbuh Lestari ゴロンタロ 1,521
PT Uniseraya リアウ 1,408
PT Alam Lestari Indah 中央カリマンタン 1,347
PT Inti Kebun Sawit パプア 1,115
PT Inti Kebun Sejahtera パプア 1,057
PT Archipelago Timur Abadi 中央カリマンタン 932
PT Berkah Sawit Abadi 西カリマンタン 819
PT Tewah Bahana Lestari 中央カリマンタン 783
その他1,082のアブラヤシ農園事業 24,948
合計 37,483

2024年のすべての森林破壊のうち、3%が保全地域で発生し、5%が保護林地域で、49%が生産林で、43%が森林地域外で発生しました。より詳しく見ると、保護林および生産林地域での森林破壊は、森林利用(すなわちコンセッション)または国家戦略プロジェクト(PSN)などの政府プログラムのために許可された地域で発生しました。これは、2024年に発生した森林破壊の97%が合法的なものであったことを意味します。

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ディスカッション

1. 合法的な森林破壊が最大の脅威

インドネシアの法制度は、基本的に森林伐採を禁止していません。政府がライセンスを発行する限り、ライセンス保有者は基本的に森林伐採を行うことができます。雇用創出オムニバス法の成立以降、政府プロジェクトは既存の天然林を自由に皆伐することができます。

企業がコンセッション内であっても手当たり次第に森林伐採を行うことは許可されていないのは事実です。これは、林業コンセッションの場合は年間作業計画(RKT)、鉱業コンセッションの場合は作業・予算・支出計画(RKAB)の承認を得る必要があるためです。アブラヤシ農園の場合、転換許可は林地指定の解除を通じて発行されます。問題は、政府が林業会社の年間作業計画(RKT)、鉱業会社の作業・予算・支出計画(RKAB)、あるいはアブラヤシ会社の林地指定の解除を示す地図を一切公開していないため、コンセッション保有者は転換コンセッション(木材プランテーション、アブラヤシ、鉱業)における天然林の皆伐は合法であると主張できるということです。

2024年に起きた森林破壊のうち、保護地域で起きたのは3%、保護林では5%、生産林では49%、森林地域外では43%でした。さらに詳しい調査によれば、保護林と生産林における森林破壊は、森林利用許可(コンセッション)を受けた地域、または国家戦略プロジェクト(PSN)などの政府プログラムのために行われた地域で発生しました。つまり、2024年に起きた森林破壊の97%は合法的な森林破壊であったことになります。

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Deforestation for biomass plantation within PT. Malinau Hijau Lestari’s concession in North Kalimantan. It might potentially legal due since the area has been released by the Ministry of Environment and Forestry and converted from forest area into Non-Forest Area. Photo: May 2024 ©AurigaNusantara

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Deforestation of biomass plantation by PT. Banyan Tumbuh Lestari and PT. Inti Global Laksana in Gorontalo. It might potentially legal since the natural forest has been released by the Ministry of Environment and Forestry for palm oil expansion by both companies. However, ground truthing shows it was not palm oil but biomass plantation sourced by PT. Biomasa Jaya Abadi located within one of the company concession. Photo: May 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation for mining and nickel industrial park Indonesia Morowali Industrial Park in Central Sulawesi. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestasi for food estate development in Merauke of South Papua. Photo: September 2024, ©Tempo

2. もっとも大規模な森林破壊はカリマンタンで発生

カリマンタンは、過去11年間と同様に、2024年もっとも広範囲な森林破壊が起きた場所でした。他の地域では森林破壊が比較的停滞しているのに対し、カリマンタンでは2021年以降、劇的に増加しています。

北プナジャム・パセル県の地域を新しい国家首都(IKN)に指定したことが、この森林破壊増加の理由の一つです。これは、東カリマンタン州政府の空間計画の変更提案からも見て取れ、もし合意されれば既存の森林地域736,055ヘクタールの解除または機能変更がもたらされます。また北カリマンタンでも、既存の森林地域762,947ヘクタールに影響を与える可能性のある同様のプロセスが提出されています。両州が提出した論拠の一つは、新首都の存在に沿った経済発展です。

コモディティ別に見ると、木材プランテーション(29,898ヘクタール)、鉱山開発(23,583ヘクタール)、アブラヤシ農園開発(23,430ヘクタール)がカリマンタンの森林破壊の主な原因です。これら3つのコモディティによる森林破壊は、全体の59%を占めています。

カリマンタンにおける転換許可を持つ森林破壊企業上位10社(2024年)

企業名 コンセッション 森林破壊面積 (HA)
PT Mayawana Persada 木材プランテーション 西カリマンタン 6,145
PT Berau Coal 石炭採掘 東カリマンタン 2,039
PT Borneo International Anugerah アブラヤシ 西カリマンタン 2,019
PT Finnantara Intiga 木材プランテーション 西カリマンタン 1,551
PT Mitra Kapuas Agro アブラヤシ 西カリマンタン 1,534
PT Cita Mineral Investindo Tbk ボーキサイト採掘 西カリマンタン 1,442
PT Alam Lestari Indah アブラヤシ 中央カリマンタン 1,347
PT Sendawar Adhi Karya 木材プランテーション 東カリマンタン 1,170
PT Industrial Forest Plantation 木材プランテーション 中央カリマンタン 1,105
PT Archipelago Timur Abadi アブラヤシ 中央カリマンタン 932
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Deforestation for timber plantation within PT. Meranti Laksana in West Kalimantan. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation within coal mining concession of PT. Berau Prima Nusantara in North Kalimantan. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation within coal mining concession of PT. Kurnia Sejahtera in North Kalimantan. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation within coal mining concession of PT. Kayan Kaltara Coal in North Kalimantan. Photo: December 2024 ©AurigaNusantara

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Giant pulp paper of PT. Phoenix Resources International in Tarakan Regency of North Kalimantan. Based on it raw material fulfilment data, the factory has been operating since 2024 by sourcing from concessions which deforested natural forest.

3. 木材プランテーションが森林破壊の主要原因

2023年には、木材プランテーション開発がインドネシアの森林破壊の最大の原因であり、そのほとんどがカリマンタンで発生しました。この森林破壊は非常に広範囲に及びましたが、発生したのはごく一部のコンセッションのみでした。

この状況は2024年も続き、ほぼ完全に同じ企業、または所有権のつながりのある企業が引き起こしています。例えば、西カリマンタン州のマヤワナ・ペルサダ(Mayawana Persada)社による大規模な森林破壊は2024年に大幅に拡大し、中央カリマンタン州のインダストリアル・フォレスト・プランテーション(Industrial Forest Plantation)社でも同様でした。

しかし、2024年に操業を開始した一部の木材プランテーションもあります。西カリマンタンのメラウィ県の3つの隣接するコンセッション(メランティ・ラクサナ(Meranti Laksana)社、メランティ・レスタリ(Meranti Lestari)社、ラハン・チャクラワラ(Lahan Cakrawala)社)は2024年後半に操業を開始しました。Auriga Nusantaraの研究者は2024年11月に森林破壊を記録し、特別レポートを間もなく発表する予定です。

木材プランテーション開発による森林破壊は、政府が北カリマンタン州のタラカンにおいてフェニックス・リソーシーズ・インターナショナル(Phoenix Resources International)社に巨大パルプ工場の設立許可を発行したため、来年もカリマンタンで続く見込みです。工場の原材料供給源について公的な説明はなく、もっとも懸念されるのは、フェニックス・リソーシーズ・インターナショナル(Phoenix Resources International)社とマヤワナ・ペルサダ(Mayawana Persada)社、インダストリアル・フォレスト・プランテーション(Industrial Forest Plantation)社、メランティ・ラクサナ(Meranti Laksana)社、メランティ・レスタリ(Meranti Lestari)社、ラハン・チャクラワラ(Lahan Cakrawala)社の間に所有権/経営のつながりがある兆候が見られることです。

2024年の木材プランテーション開発による森林破壊は、パルプ産業だけでなく、エネルギー用植林地またはバイオマス用植林地によっても引き起こされました。ゴロンタロ州の3つの隣接するコンセッション(インティ・グローバル・ラクサナ(Inti Global Laksana)社、バンヤン・トゥンブ・レスタリ(Banyan Tumbuh Lestari)社、ビオマサ・ジャヤ・アバディ(Biomasa Jaya Abadi)社)、北カリマンタン州のマリナウ・ヒジャウ・レスタリ(Malinau Hijau Lestari)社、東カリマンタン州のジャヤ・ブミ・パセル(Jaya Bumi Paser)社、中央カリマンタン州のバブグス・ワハナ・レスタリ(Babugus Wahana Lestari)社がその例です。

エネルギー用植林地の開発による森林破壊は、(1)特に日本と韓国からの高い市場需要、(2)2030年までに国の電力の約5%~10%を木材ベースのバイオマスで発電するための国家電力政策、(3)林業省によるエネルギー用植林地の事業許可の劇的な増加を考慮すると、今後数年間続く見込みです。エネルギー用植林地の開発による深刻な森林破壊について、市民社会団体の連合が『無視された警告:インドネシアと東南アジアの熱帯林を脅かす森林バイオマス』と題する報告書を通じて警鐘を鳴らしました。

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In 2024, civil society coalition of Auriga Nusantara, Environmental Paper Network, Rainforest Action Network, Woods & Wayside International and Greenpeace International exposed the massive deforestation within the timber plantation of PT. Mayawana Persada in West Kalimantan. Up to December 2024, the company continuously deforested the remaining natural forest within its concession. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation for timber plantation within the concession of PT. Lahan Cakrawala in West Kalimantan. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Excavators are clearing natural forest in PT Mayawana Persada's timber plantation concession in West Kalimantan. Photo: March 2024 ©Auriga Nusantara

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Deforesting natural forest for biomass plantation within the PT. Jaya Bumi Paser in East Kalimantan. Photo: May 2024, ©AurigaNusantara

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Natural forest cutting for road line of biomass plantation development within the concession of PT. Babugus Wahana Lestari in Central Kalimantan. Photo: August 2024 ©AurigaNusantara/Earthsight

4. アブラヤシはインドネシアの天然林を食い荒らし続けている

今後、私たちはもっと多くのアブラヤシを植えなければならない。恐れる必要はない…たとえそれによって森林破壊という危険にさらされるとしても」と、プラボウォ大統領は2024年12月30日の国家開発計画会議(Musrenbangnas)で述べました。この考えに沿っているかどうかは別として、プラボウォは天然林を転換するアブラヤシ拡大の正当化を構築しています。明らかに、2024年におけるアブラヤシ農園開発による森林破壊はインドネシア、特にスマトラとカリマンタンで高いままでした。2024年には、アブラヤシ農園開発が37,483ヘクタール、すべての森林破壊の14%を占めました。

2024年のほぼすべてのアブラヤシ森林破壊地点で大規模に発生する傾向があることは、アブラヤシ開発が小規模農家(25ヘクタール未満に分類)ではなく、企業や大規模投資家によって行われていることを示しています。これは、西カリマンタン州のボルネオ・インターナショナル・アヌゲラ(Borneo International Anugerah)社のコンセッションでアブラヤシのために2,019ヘクタール、中央カリマンタン州のアラム・レスタリ・インダ(Alam Lestari Indah)社のコンセッションで1,347ヘクタールの森林が失われたことからも明らかです。アブラヤシによる森林破壊は、アブラヤシ農園だけでなく、リアウ州のダイアモンド・ラヤ・ティンバー(Diamond Raya Timber)社のプランテーションコンセッションでも発生しました。

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Deforestation for palm oil expansion. Ground truthing found no legal permit for palm oil plantation neighbouring to palm oil estate of PT. Laot Bangko and PT. Indo Sawit Perkasa in Subussalam Regency of Aceh. Photo: February 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation for palm oil expansion within the concession of PT. Anugerah Langkah Makmur in Mandailing Natal Regency of North Sumatera. Photo: February 2024, ©AurigaNusantara/Konsorsium Pembaruan Agraria

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Location within the logging concession of PT. Diamond Raya Timber in Riau. However, local testimonies and ground truthing exposed that the deforestation was for palm oil expansion. Ground truthing in February 2024 exposed similar case also found within the concession of PT. Anugerah Pratama Inspirasi in Bengkulu. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation inside PT Bentara Arga Timber’s logging concession in Bengkulu. The locals’ testimonies and ground-truth’s documentation indicated the deforestation are for oil palm plantations. Photo: February 2024, ©Auriga Nusantara

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Deforestation for palm oil expansion within the concession of PT. Bersama Sejahtera Sakti in Pulau Laut, Kotabaru Regency, South Kalimantan. Photo: May 2024, ©AurigaNusantara

5. ニッケル、金、木材プランテーション:スラウェシ島における3つの脅威

スラウェシでの森林破壊は2024年に大幅に減少しました。それにもかかわらず、島の森林被覆面積がパプア、カリマンタン、スマトラに比べてはるかに少ないことを考慮すると、森林破壊面積の数値は依然として深刻に受け止めなければなりません。スラウェシでの森林破壊は、中央スラウェシ州、南東スラウェシ州、ゴロンタロ州、西スラウェシ州、南スラウェシ州、北スラウェシ州の順に発生しました。

比較的平坦なカリマンタンとは異なり、スラウェシでは丘陵地が優勢です。全域がウォーレシア地域に位置するこの島は、特に鳥類において高い動植物固有性で知られています。地滑りや鉄砲水のリスクが高いだけでなく、島での森林破壊はより高いレベルの種の絶滅を引き起こす可能性もあります。

コモディティ別に見ると、ニッケル産業がスラウェシでの森林破壊の最大の要因であり、中央スラウェシ州、南東スラウェシ州、南スラウェシ州の210のコンセッションで4,262ヘクタールの面積を占めました。

スラウェシ北部の小さな州であるゴロンタロには特別な注意が必要です。この州は比較的天然林の面積が小さいにもかかわらず、2024年に2,180ヘクタールの森林破壊が起きました。この森林破壊の71%は、近隣のインティ・グローバル・ラクサナ(Inti Global Laksana)社とバンヤン・トゥンブ・レスタリ(Banyan Tumbuh Lestari)社によるエネルギー用植林地の開発(バイオマス)のためであり、これらは近くのビオマサ・ジャヤ・アバディ(Biomasa Jaya Abadi)社による木質ペレット工場に供給しています。まもなく発表されるAuriga Nusantaraの分析は、これら3社間の所有関係のつながりを示しています。

この島は火山活動によって形成されたため、豊富な鉱物資源を有しています。ニッケルの一大産地であるだけでなく、比較的大きな金の埋蔵量もあります。しかし残念ながら、この可能性は天然林被覆を脅かしています。2024年には金採掘活動による181ヘクタールの森林破壊が起きました。この数字は鉱山開発の地域内で発生したものですが、そのような活動はゴロンタロ州のナントゥ野生動物保護区や北スラウェシ州のボガニ・ナニ・ワルタボネ国立公園などの保全地域にも侵入していることが判明しています。

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Deforestation within nickel mining concession of PT. Bintang Delapan Mineral in Central Sulawesi. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation within nickel mining concession of PT. Hengjaya Mineralindo in Morowali Regency, Central Sulawesi. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Road towards existing mining location within the nickel concession of PT. Surya Cahaya Mineral in North Konawe Regency, Southeast Sulawesi. At glance in background shows an open area caused by deforestation for nickel mining within the company concession. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

6. ニッケル採掘のための森林破壊がパプアの土地を荒廃させる

おそらく一般の人々は、ラジャ・アンパット諸島を美しく静かな海とサンゴ礁に囲まれた手つかずの小さな島々の集まりとして考えているでしょう。現在は南西パプアの県となっているこの諸島は、確かに観光地として、特にサンゴ礁で満たされた水域の自然の美しさで知られています。ジョコウィ大統領でさえそこで新年を過ごしました。

しかし、このような国内外の評価を受けた地域も、ニッケル採掘の猛攻撃(開発の波)には耐えられませんでした。ラジャ・アンパット諸島にある少なくとも4つの小さな島、ガグ、ワイゲオ、マヌラン、カウェイはすでにニッケル鉱山の影響を受けています。衛星画像の分析によると、2024年までにニッケル採掘はこれら4つの島で174ヘクタールの森林破壊をもたらしました。

さらに、バタンペレ島とマニャイフン島では、Mulia Raymond Perkasa社が新たなニッケル採掘の許可を得ていますが、採掘事業はまだ始まっていません。

パプアでのニッケル採掘による森林破壊は拡大する見込みです。インドネシア最東端地域には5つの採掘許可があり、これらの許可は合計38,529ヘクタールの面積をカバーし、そのうち58%、22,452ヘクタールが天然林に覆われています。

パプアでのニッケル鉱山開発許可

コンセッション 地域 許可地面積(ha) コンセッション地域内の天然林(ha)
PT Anugerah Surya Pratama ラジャアンパット、南西パプア 1,167 209
PT Kawei Sejahtera Mining ラジャアンパット、南西パプア 5,691 2,361
PT Mulia Raymond Perkasa ラジャアンパット、西パプア 2,194 874
PT Gag Nikel ラジャアンパット、西パプア 13,078 2,838
PT Iriana Mutiara Mining サルミ、パプア 16,399 16,170
合計 38,529 22,452
Simontini - stadi 2024

Deforestation by nickel mine of PT. Gag Nickel in small island Gag in Raja Ampat Regency of Southwest Papua. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation of nickel mining by PT. Kawei Sejahtera Mining is small island Kawei in Raja Ampat Regency of Southwest Papua. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation by nickel mining activity of PT. Anugerah Surya Pratama in small island Manuram, Raja Ampat Regency of Southwest Papua. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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In small island of Batang Pele in Raja Ampat Regency of Southwest Papua, a permit has been released for nickel mining of PT. Mulya Raymond Perkasa. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

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Lake and natural forest are threaten with extinction since a permit on the area has been released for PT. Iriana Mutiara Mining. Photo: December 2024, ©AurigaNusantara

7. 保全地域でも大規模な森林破壊が起きている

2024年10月31日、Ekspedisi Indonesia Baru、HAKA Aceh、Forest Watch Indonesia、Greenpeace Indonesia、Pusaka Belantara Rakyat、Auriga Nusantaraからなる市民社会組織連合が、コロンビア・カリで開催された生物多様性条約第16回締約国会議(COP 16)で映画「17 Sweet Letters」を発表しました。そのインドネシア語版「17 Surat Cinta」は2024年11月17日に国内で公開され、アチェ州のラワ・シンキル野生動物保護区で長年続く森林破壊の物語を描いています。保全活動家たちは政府に対し17通の苦情文書を送っていましたが、森林破壊は続いています。2024年には、ゾウやオランウータンなど象徴的な野生動物の生息地で159ヘクタールの森林破壊が確認されました。

2024年を通じて、インドネシア全体で保全地域内の合計7,704ヘクタールの森林破壊が確認されました。この森林破壊は、37州の国立公園、野生生物保護区、自然保護区、大森林公園、エコツーリズム公園、狩猟エリアで行われています。

保全地域内の森林破壊は、自然資源保全庁や技術管理ユニットなどの専門管理機関がすでに設置されており、少なくとも4つの法律(保全法、林業法、環境法、違法伐採撲滅法)によって厳しく禁止されているため、特に懸念されるべきです。

保護地域における森林破壊トップ10

保全地域 2024年の森林破壊面積(ha)
Kerinci Seblat National Park ベンクル、ジャンビ、西スマトラ、南スマトラ 1,283
Lorentz National Park 山岳パプア、南パプア、中央パプア 900
Memberamo Foja Wildlife Sanctuary パプア、山岳パプア、中央パプア 490
Bukit Soeharto Forest Park 東カリマンタン 363
Jayawijaya Mountains Wildlife Sanctuary 山岳パプア 357
Gunung Leuser National Park アチェ、北スマトラ 335
Bukit Rimbun Bukit Baling Wildlife Sanctuary リアウ、西スマトラ 312
Tesso Nilo National Park リアウ 251
Dangku Wildlife Sanctuary 南スマトラ 236
Giam Siak Kecil Wildlife Sanctuary リアウ 221
その他188の保全地域 2,933
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Deforestation for palm oil expansion within the Wildlife Reserve in Rawa Singkil of Aceh. Photo: February 2024, ©AurigaNusantara

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Deforestation for palm oil expansion within the Tesso Nilo National Park in Riau. Photo: February 2024, ©AurigaNusantara

提言

現在、インドネシアの天然林に対する法的保護は、保全地域内の天然林にのみ適用されています。なぜなら、これらの地域では森林被覆やランドスケープの転換が禁止されているからです。インドネシアの保全地域の総面積2,240万ヘクタールのうち、1,730万ヘクタールが天然林被覆となっています。

確かに、原生林(および泥炭地)の新規許可に関するモラトリアム政策は存在します。しかし、このモラトリアムは政策であり規制ではないため、その保護は恒久的ではありません。「Peta Indikatif Penundaan Pemberian Izin Baru(PIPPIB)」と呼ばれる地図を通じて正式に指定されたこのモラトリアムは、環境林業大臣令によって定められています。2023年11月時点の最新版では、6,630万ヘクタールの地域をカバーしています。この地図の空間分析によれば、モラトリアム地域内には5,350万ヘクタールの天然林があります。それでも、すべての保全地域はPIPPIB地域内に含まれています。

上記の2つのカテゴリー以外の天然林には、法的保護や政策がまったくありません。例えば、林業大臣ラジャ・ジュリ・アントニ氏は、食料・エネルギー・水の備蓄のために2,000万ヘクタールの森林地域を提供すると発言しています。

一方、「MapBiomas Indonesia Collection 3」が示すように、インドネシアは現在9,490万ヘクタールの天然林を有しており、そのうち5,290万ヘクタールがモラトリアム地域にあります。これは、4,200万ヘクタールの天然林に法的保護や政策がないことを意味します。この数字のうち合計900万ヘクタールは、アブラヤシ(230万ヘクタール)、鉱業(320万ヘクタール)、木材プランテーション(350万ヘクタール)の転換コンセッション内にさえ含まれています。

Deforestation in 2001-2022 gathered by overlaying University of Maryland's Lossyear data against forest cover in 2000 by Ministry of Forestry

Deforestation in 2023 and 2024 using Auriga Nusantara STADI (Indonesia Deforestation Status) which available on https://simontini.id/

天然林に対する保護は、理想的には法律の形を取るべきです。法律を制定するのは簡単な作業ではなく、通常何年もかかります。次のレベルの立法、すなわち政府規則でさえ、省庁間合意の確保という前提条件の複雑さにより、しばしば長い時間がかかります。

したがって、政府規則と同等の効力を持つ大統領令の形で、短期間で法的な突破口を実現することが可能です。したがって、プラボウォ・スビアント大統領がインドネシアの残存するすべての天然林に法的保護を提供する大統領令を発行する時が来ています。

著者:

Timer Manurung, Dedy Sukmara, Andhika Younastya

データ収集・編集

Andhika Younastya, Anggun Detrina Napitupulu, Bagus Sugiarto, Cecilinia Tika Laura, Dedy Sukmara, M. Alichamdan, M. Dendi Alfitrah, Sesilia Maharani Putri, Wahyu Ananta Nugraha, Yustinus Seno

実地検証:

Bagus Subgiarto, Fajar Simanjuntak, Gilang Ekselsa, Hafid Azi Darma, Hilman Afif, Riszki Is Hardianto, Robby Eebor, Supintri Yohar, Yudi Nofiandi, Sulih Primara Putra

Suggested citation:

Auriga Nusantara. 2025. Status of Deforestation in Indonesia 2024, accessed on [DD/MM/YYYY] through [LINK].

The translation to Japanese is conducted by JATAN